ねえルルーシュ、どこかに引っ越してしまおうか。そういうと彼はいぶかしげに僕の顔を見上げ眉を上げました。どうして引越しする必要があるんだ。彼は僕にそう答えました。僕は僕の腕の中で寒そうにシーツを引き寄せる彼に微笑みかけて、ここ、いつも居心地が悪そうにしているじゃないか。と意地悪くいうのです。小さな森の中に引っ越してしまおうよ。彼はいぶかしげな顔をさらにゆがめて、不機嫌な顔で僕のたちの悪い冗談を聞きました。小さな僕たち二人だけが住むログハウスを建てて、ご飯は森の動物を僕が狩って捌くから、君がそれを料理してね。服は動物の毛皮を使って、それも君が作ってね。それでも足りなかったら、多くても一ヶ月に一度くらいで遠くの田舎村まで歩いていこうよ。塩とか砂糖とか、あと服と家具とか、生活必需品を買って、また遠くにある僕たちの家に歩いて帰るんだ。疲れたら僕が負ぶってあげるから、ぜんぜん大丈夫だよ。何も心配ないよ。彼は僕の話を聞いて、不機嫌そうな顔を止めて嬉しそうに笑いました。  それは、いいな。僕は嬉しくなって、寒そうに丸まっている彼を引き寄せて、君が望むならナナリーとC.C.も一緒でいいよ。と彼にささやきました。彼は、今度はふふふと笑いながらこう答えたのです。  ナナリーは駄目だ。たとえ一ヶ月に一度でも家に一人で置き去りにするわけには行かない。C.C.も駄目だ。ピザを食べたがるからな。一ヶ月に一度じゃすまなくなる。僕はそれに嬉しくなって、こういいました。  じゃあ、僕と君の二人っきりじゃないと駄目だね。彼は僕の背中に腕を回してまた笑って、言いました。そうだ、俺とお前の二人でないと。僕は嬉しさのあまりきゅうきゅうと胸が締め付けられ、彼は彼で嬉しさを隠せないと言うように自分の頭を僕の胸にぎゅうぎゅうと押し付けました。彼は寒くてたまらないと言って僕にぴったりとくっつきました。僕の体は、シーツよりずっと暖かったそうです。


 結局は、彼が死ぬまで僕が彼の弱音を聞くことはありませんでしたが、今思うと、その会話はあのときの彼に許された精一杯の甘えと弱さだったのかもしれません。  もしそうなら、僕はとても残酷なことを彼に強要したのだなと後悔の念が押し寄せます。

懺悔のお時間